加藤さんは「描かれた富士山――芸術の源泉」を執筆、遥拝所としての千居[せんご]遺跡環状列石[ストーンサークル]から富士の画家・横山大観まで、富士イメージの歴史を鳥瞰しています。高階秀爾監修『日本の美 富士山』に書いた僕の拙文を引用してくれたのは、同じ専門をやっている先輩へのソンタクかな(笑)
渡辺豊博さんの「富士山とは――世界遺産と環境保全」もオススメですね。渡辺さんは「現在まで『世界文化遺産』に登録されることを優先した、行政指導の『器・形』を整える運動が先行してきた。しかし、最も重要なことは、50年先、100年先の富士山をどのように守り、伝えていくかを考えることである」と述べています。
環境破壊を生むオーバーユースに警鐘を鳴らしているのです。世界遺産に登録されて浮かれがちな日本人のすべてが、よく熟読玩味、拳々服膺、思索生知すべき一章でしょう。
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