2020年2月27日木曜日

根津美術館「虎屋のおひなさま」4



画面右上に五言律詩の自賛がありますが、これがきわめて難物、会場ではよく読めず、頂戴したカタログの写真で再挑戦してみましたが、まったくお手上げです。だからといってスルーしちゃうのは口惜しく、何とか読んだ結果と解釈を掲げることをお許しください。もっぱらこの絵に対する僕の直感から出発した解釈です――などといえばエーカッコシーですが(笑)

新柳映夭桃 鶯児鳴下上 郎君与洪嫉 歌喩誠心賞

大門地芳事 最北入逝像 深窓剪彩豕 装飾左平一

芽吹いた柳が咲いたばかりの桃と照り映えており、ウグイスが鳴きながら高く低く飛んでいます。男雛と女雛は、心を合わせて歌でも歌っているようです。内裏雛が住むような立派な家でも、それはただ目に美しいだけで、最後は朽ち果ててしまいます。だから私の描く女雛も、華麗な衣裳などは身につけていません。飾り立てれば立てるほど、この世のハーモニーは乱れてしまうものです。

0 件のコメント:

コメントを投稿

渡辺浩『日本思想史と現在』7

しかし渡辺浩さんは、先行研究が指摘した二つの点について、高橋博巳さんの見解が示されていないことが、やや残念だとしています。その先行研究というのは、大森映子さんの『お家相続 大名家の苦闘』(角川選書)と島尾新さんの『水墨画入門』(岩波新書)です。 僕も読んだ『お家相続 大名家の苦闘...