人情と責任感と二つのもつれに私も苦しんだ。その結果、窮余の一策、やむなくばこれ以後の字母は誰かお弟子中のすぐれた人に書かせて下さいと申し入れたが、石井さんはがんとしてきかない。
自分が引き受けたのだから自分でやると、ついに最後まで人手には任さなかった。多分病を押してのことも多かったであろう。私はその時、その責任感の深さと友情の厚さに深く感激した。おかげによって大漢和辞典は整斉にして雅味ある石井式の細明朝体の文字をもって内容を飾ることができたのである。
目出度い雪が彼方まで 驚くほどに降り積もり 目出度い雲が天上の 果てまで暗く してる けど 地上はまるで満月の 夜かと疑う明るさで 山には白雲 棚引いて きらめく朝日を 浴び てる よう 舞うがごとくに降る雪は ひらひら 散って...
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