デルフォスの垂直性は、直線裁ちを特徴とする我が国の着物とも美しき共鳴を起こしています。そんなことを思いながら見ていくと、フォルチュニが着物からヒントを得て作った作品が展示されているではありませんか。やはり、デルフォスを考え出したフォルチュニの感受性は、日本の着物にも鋭く反応していたのです。
ただし、その着物風ドレスは基本的に室内着だったらしく、デルフォスの上に羽織るものであったようです。やはりコルセットを嫌ったフォルチュニは、着物といっても、女性の体を締め付ける帯には関心が向かなかったのでしょうか。
グラナダで生まれ、ローマとパリで育ち、ヴェネツィアで活躍し成功を収めるに至ったフォルチュニが、どこの国の人かなどと問うことはもうナンセンス、すぐれたコスモポリタンであったというべきでしょう。そのヴェネツィアの邸宅兼アトリエは、フォルチュニ美術館として公開されています。
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