2019年7月8日月曜日

静嘉堂文庫美術館「書物にみる海外交流の歴史」10


僕が大好きな寺山修司は、「書を捨てよ、町へ出よう」といいましたが、これも聞一多や魯迅と相似た思想から出た言葉だと思います。もっともそれを彼が本で発表したというアイロニーのなかに、やはり本が持つ超絶力が語られているんだと思います。

なぜ、寺山修司が好きなのかって? それはこれまで一番多く僕が口ずさんだ和歌は、『万葉集』でも『新古今』でも石川啄木でもなく、寺山修司の「一つかみほど苜蓿[うまごやし]うつる水 青年の胸は縦に拭くべし」だからです。風呂からあがって体を拭くとき、必ずこれを唱えるので、けっきょく75年間で一番多くなっちゃったんです( ´艸`)

僕の趣味で、ときどき戯訳を披露している漢詩も、書物のなかに存在しています。少なくとも僕にとって、漢詩と書物は表裏一体の関係に結ばれています。渡辺秀喜さんの『漢詩百人一首』に、秦の始皇帝による焚書を詠んだ晩唐の詩人・章碣の七言絶句「焚書坑」がありましたので、この展覧会にちなみ、これを紹介しておきましょう。

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