2019年5月3日金曜日

山種美術館「花*Flower*華」3


 山崎館長がそう言って下さったのは、いくつかニューアイディアを盛り込んだせいかもしれません。その一つは山種美術館が誇る酒井抱一の優品に加えられた賛の解釈ですが、もちろんいつもの戯訳です。本来12図のシリーズだったと思われますが、そのうちの「菊小禽図」「飛雪白鷺図」が、山種美術館のコレクションになっているのです。

賛者は有名な亀田鵬斎の子供で、抱一とも仲がよかった漢学者・亀田綾瀬です。むずかしい漢詩なので、かなり私意を加えましたが……。

菊の一叢[ひとむら]華麗なり 秋の光の消えるまで
  西風なまめき世間体 よくするために愛でる人
  だが陶淵明が現れて その気高さを悟らせた
  冷たい霧雨秋の雨 間もなく重陽節が来る        (「菊小禽図」)

0 件のコメント:

コメントを投稿

渡辺浩『日本思想史と現在』12

  そのとき『君たちはどう生きるか』の対抗馬 (!?) として挙げたのは、色川武大の『うらおもて人生録』(新潮文庫)でした。京都美術工芸大学にいたとき、『京都新聞』から求められて、就職試験に臨む受験生にエールを送るべくエッセーを寄稿したのですが、本書から「九勝六敗を狙え」を引用し...