2019年1月20日日曜日

山種美術館「皇室ゆかりの美術」3


今回僕は青邨屏風の前に立って、その強烈な迫力に圧倒されましたが、それは「永徳なにするものぞ!」という自負、矜持、あるいは気概が生み出したエネルギーと表裏一体をなしているように感じられたのです。青邨が動物園に出かけてライオンを写生したことは事実だとしても、そのようなリアリズム志向だけで、この屏風の力動感を生み出せるものでしょうか。

青邨は優美なやまと絵の画風をもって、構築的な漢画様式の永徳に挑戦し、すぐるとも劣らぬ二次元世界を創り出すことができた満足感のうちに、「青邨」朱文円印を捺し終わったんだと思います。

僕がこのように考えるのにはわけがあります。日本画家では珍しい自画像――「白頭」と題する傑作を遺している青邨には、強い自我意識があったというのが、僕の青邨観だからです。

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