2018年10月24日水曜日

三井記念美術館「仏像の姿」1


三井記念美術館「仏像の姿~微笑む・飾る・踊る~」<1125日まで>(914日)

 館長の清水真澄さんは、カタログの「ごあいさつ」に、「展覧会場で観客それぞれの人が、自分の感性で、仏師の工夫や技術、独創性すなわち『仏師がアーティストになる瞬間』を見つける、体験型の展覧会といえるかもしれません」と書いています。「いえるかもしれません」じゃなく、「いえます!!」。とても楽しい仏像展です。このごろ僕が主張している感情移入――エンパシーによる鑑賞も、きっとおもしろいにちがいありません。

東京藝術大学文化財保存学・籔内佐斗司研究室の大学院生たちによる、天平・弘仁貞観以来のすぐれた仏像の模刻や復元も見逃せませんよ。

「僕の一点」は、最初に登場する「迦陵頻伽立像」(個人蔵)です。鎌倉・覚園寺の本尊「薬師三尊像」の光背を飾っていた迦陵頻伽のうちの一体と推定されています。この三尊像は、鎌倉地方を中心に活躍した仏師・朝祐による1422年の制作と考えられています。異説もあるようですが、室町時代の仏像であることは間違いありません。


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