2018年6月29日金曜日

鏑木清方記念美術館「清方の美人画」3


かといって、まったく無関係ともいえないような気もします。「男女間の恋愛」あるいはそれにきわめて近い感覚が、清方美人をながめる僕の気持ちのなかに含まれていたからです。このような感情や表現をどのように呼べばいいのでしょうか。

エロティシズムではないけれども、しかし単に美しいとか、エレガントとか、綺麗だとかいうのでもない。うまい表現が見つかりません。「エロティシズムを超越したエロティシズム」などと言ってみても、隔靴掻痒の感が残るでしょう。

「僕の一点」は、季節にちなんで「あじさい」を選んでみました。紫陽花が一輪だけ淡彩で描かれ、「清方」の落款に「紫陽花舎」という朱文方印が捺されています。清方さんは紫陽花が大好きで、みずからのアトリエを「紫陽花舎」[あじさいのや]と名づけました。キャプションには、清方さんの紫陽花をたたえる一節が掲げられていました。

水色白群から白群、それから淡い藤色に変わって行く、その色の美しさと変化の中には秘めやかな妖気があり、異国趣味がある。

0 件のコメント:

コメントを投稿

ブータン博士花見会4

  とくによく知られているのは「太白」里帰りの物語です。日本では絶滅していた幻のサクラ「太白」の穂木 ほぎ ――接木するための小枝を、イングラムは失敗を何度も重ねながら、ついにわが国へ送り届けてくれたのです。 しかし戦後、ふたたび「染井吉野植栽バブル」が起こりました。全国の自...