根津美術館「光琳と乾山 芸術家兄弟 響き合う美意識」<5月13日まで>(4月28日)
3年前、琳派に関する拙文を集めて『琳派』を出したとき、「響きあう美」という副題をつけました。琳派絵師の美意識は、おたがいによく響きあうものでしたが、光琳と乾山における交響がもっとも顕著であったことは、改めていうまでもありません。この特別展に、静嘉堂文庫美術館が誇る光琳筆「鵜飼図」が選ばれたことも、じつにうれしいことでした。
しかし、この特別展の素晴らしさは、それだけじゃありません。野口さんの研究成果が、ちゃんと反映されていることなんです。この構成自体が成果ですが、研究的立場からいうと、始興素信同一人説が実証されたことが特筆されます。根津美術館所蔵の乾山作「銹絵蘭図角皿」の裏には、「表の一連は画師である渡辺素信が私に代わって書いた」という意味のことが、乾山の字で書かれています。
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