2018年3月13日火曜日

三重県立美術館「今村幸生展」4


もちろん「風神雷神図屏風」が今回の「僕の一点」ということになりますが、もう一点「十七歳の自画像」を、どうしても加えておきたいのです。すごくいい! 巧みじゃないけどいい!! ものすごくいい!!! 

十代後半の男の子が必ずもっている、あるいは必ずもたなければならない孤独感や将来に対する得もいえぬ不安が、寒色の深い陰影のうちに、愛おしいほどよく写し取られています。男なら誰でも自分の十代を重ね合わせて、感情移入をしないではいられないでしょう。

そのころ、女性はもう完全に成熟していて、女の子から女にメタモルフォーゼを果たしているのに、男の子は男の子のまま置いてきぼりを食わされている。それがナーバスな感情やちょっとニヒルな感覚を生み出していく。男女差だけが原因ではないとしても、もっとも大きな原因であることは否定できないでしょう。

17歳の今村もそうであったことを語って、この7月には後期高齢者の仲間に入ろうとしている僕を、青春時代に連れ戻してくれたのでした。

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