2018年2月26日月曜日

横浜美術館「石内都展」と山口百恵6


とはいっても、僕には初期の「横浜」がもっとも好ましく感じられました。たとえば「金沢八景」は、遅すぎた青春の思い出というわけじゃないけれども、何かとても懐かしい感じが僕を惹きつけるのです。「Apartment」も「yokohama互楽荘」も「連夜の街」も、実際は住んだことはない空間なのに、こういう風景が僕らの世代にとって、決して別世界のストーリーではないのです。

同時に逢坂さんは、美術館のコレクション・ギャラリーで、収蔵作品の「絶唱、横須賀ストーリー」55点を展示して、重層的構成に高めています。もちろん、ヴィンテージプリントです。今まで写真集なんか見ないでよかった! 小さい画面なのに、圧倒的迫力で迫ってきます。

いっぺんに石内都という写真家が好きになりました。いや、尊敬の念が湧いてきました。美は人間の好悪を180度転換させてしまうこともあるんだと思いました。そこでは、醜を超越した美が存在を主張していました。山口百恵をあんなに哀しませたことも、許せるような気持ちになりました。

0 件のコメント:

コメントを投稿

山種美術館「桜さくらSAKURA2025」4

人はだれしもこの幸福な島国で、春、とくに桜の季節を京都や東京で過ごすべきだ。その季節には、思い思いに着飾った人々が、手に手をたずさえ桜花が咲き乱れる上野公園をはじめ、すべての桜の名所に出掛けてゆく。彼らはその際、詩作にふけり、自然の美と景観を賛美する。……世界のどの土地で、桜の季...