しかし、楽しませくれるだけではありません。日中比較美術史の観点からも、実に興味深い展覧会だといわなければなりません。会場に足を踏み入れれば、すぐ眼に飛び込んでくる「色絵熨斗破魔弓文皿」(サントリー美術館蔵)や「色絵松竹梅文大皿」(出光美術館蔵)から、柏木さんの解説を聞きながら一つずつ見ていきました。
はじめは「いいなぁ」「すばらしいなぁ」という感嘆だけだったのですが、やがてこれこそ日本のやきものなんだという確信めいたものに、高まっていく心の変化を感じたのです。
その対極には、中国・宋代の白磁や青磁、影青(青白磁)といった単色釉のやきものがありました。あるいは、元代や明代の青花(染付)でした。その染付はともかく、白磁や青磁では、日本はとても中国にかなうものではありません。そもそも我が国には、まともな白磁や青磁などなかったという方が正しいでしょう。
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