2017年12月10日日曜日

国立西洋美術館「北斎とジャポニスム」3


「何といっても北斎だ」なんてホザいている僕は、悪趣味の権化ということになるわけですが、「趣味嗜好は先天的なものである」という命題を、そのまま楽之軒先生にお返しして、先天的のどこが悪いと居直るしかほかに途はなさそうです。

しかし改めて考えてみると、僕が北斎を好きなのは、絵がすばらしいこととともに、頭抜けておもしろいからかもしれません。つまり、北斎はいろいろなことを考えさせてくれるんです。多湖輝先生じゃありませんが、「頭の体操」が楽しめるんです。

1996年、小林忠さんから、「河野さんはいつも北斎北斎といっているから、今度出す至文堂版「日本の美術」浮世絵シリーズの『北斎と葛飾派』を担当してほしいんだ」と頼まれたことがあります。

「北斎は好きだけど、すでに菊地貞夫さんの『北斎』がこの『日本の美術』にあるし、浮世絵トリビアリズムは素晴らしいけれど、僕の手に余る方法論なので、好きなように書いて構いませんか?」と聴いたところ、もちろんそれで結構だという返事だったので、喜び勇んで執筆に取り掛かったことを思い出します。

0 件のコメント:

コメントを投稿

山種美術館「桜さくらSAKURA2025」6

  実はさる 3 月 29 日の土曜日、この「桜 さくら SAKURA  2025 」展にちなんで、「桜を描いた名品佳品 饒舌館長ベストテン」と題する講演を、いや、口演をやらせてもらいました。会場は山種美術館から歩いてすぐのところにある國學院大學院友開館、足元のよくないなか、 1...