2017年9月23日土曜日

ネコ絵に書き加えられたオマージュ1


 今村与志雄先生の『猫談義 今と昔』(東方書店 1986年)に引かれている劉基という人の七言絶句があります。タイトルは「画猫に題す」、劉基は中国・明の太祖をたすけて建国に貢献した政治家ですが、儒学や史学に詳しく、また詩文をよくした文人だそうです。またまた僕の戯訳で紹介しましょう。

  青い目のネコ 黙ってりゃ 運ばれてくる魚メシ
  すわる階段のんびりと 舞ってる蝶々を見てるだけ
  吹く春風にゆらゆらと 揺れる花影[はなかげ] 伝説の
  ウズラに化ける野ネズミを 捕えもせずに知らん顔

 結句はちょっと分かりにくいのですが、中国では3月になると地中のモグラが鳥のウズラに変身すると考えられていたらしく、それを引っぱってきたものだそうです。これは中国絵画史におけるネコを考える際、結構重要な資料だと思います。『猫談義 今と昔』については、旧ブログにアップしたところですが、話の都合上、ちょっとバージョンアップを加えてここに再録しておくことにしましょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿

すみだ北斎美術館「北斎をめぐる美人画の系譜」3

 この春興狂歌集に、北斎が魅力的な美人風景図を寄せています。解説によると、現在の新宿・神楽坂あたりの風景で、遠景に牛込御門近くにあった堰の落し口が描かれています。これは「どんどん」と呼ばれて、よく知られていました。  その若草もチョッと芽吹き始めた河原を、3人の美人と、連れの子ど...