2017年4月13日木曜日

奈良国立博物館「快慶展」5


このような絵画的性格を象徴するのは、袈裟に施された極めて繊細な切り金の装飾です。肉眼では見えないほど精緻なので、会場には多くの拡大写真パネルが展示されています。

切り金は、平安時代後期の藤原仏画で愛用され、その黄金時代を築いた装飾技法で、本来絵画的な性格が強いものでした。快慶はそれを仏像彫刻に適用したのです。それゆえに絵画的になったというのではありません。切り金に絵画的性格が象徴されている――と僕は言いたいのです。

西欧はもとより、中国と比べても、我が国の宗教彫刻は絵画的である点に美的特質があるように思いますが、それは快慶に集約されているといっても過言ではありません。それはどこかで日本彫刻のシンプリシティーと結びついているはずです。

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。

横浜美術館「ヌード」8

しかもまずいことに、ヌードはリアリズムの絵画でした。現実の肌の色のままに塗られて体温を感じさせ、陰影が施され、人間そのもののプロポーションがまもられていました。絵空事の春画とちがって、現実の裸体にきわめて近かったのです。笑って済まされない絵画でした。さらにそれが博覧会や展...