草間がいま85歳であることを考えれば、尊敬に値することです。しかし固定観念にとらわれやすい日本人は、戸惑いながら会場をあとにするかもしれません。かくいう僕も、一番好きなのは、静岡県立美術館の「無題」(1959)なのです。
作日、『無限の網 草間彌生自伝』をはじめて読みましたが、外国大学からのオファーにこたえる勇気をもたなかった小心者の僕にとって、草間は異次元に生きる人間のように感じられたことでした。
先日、京都市立銅駝美術工芸高等学校へ挨拶にうかがったとき、校長の中村則和さんから、草間がここの卒業生であることをお聞きしました。この変った校名は、洛陽から西域に向かう地点に銅でできた駱駝が立っており、それに由来する平安京以来の「銅駝坊」にちなむものだそうです。このアールデコ風の校舎で学びながら、草間は自由なアメリカへの憧れを高ぶらせていったのでした。
*上掲のただ薄い鼠色に見える平面が、草間彌生さんの静岡県立美術館所蔵「無題」という作品です。饒舌館長が選ぶベストワンですね。


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