静嘉堂@丸の内「元禄!師宣劇場」<8月23日まで>
静嘉堂文庫美術館には浮世絵の創始者・菱川師宣にアトリビュートされてきた「十二ヶ月風俗図巻」上下2巻があります。しかし一般に知られてきた師宣の基準作と比較すると、描写があまりにも丁寧でやや硬い感じを与えるためでしょうか、師宣直筆か否かについては疑問視されてきました。これだけの出来映えなのに、無落款であることも疑念を抱かせたのでしょう。
しかし4半世紀ほど前、千葉市美術館で空前絶後の「菱川師宣展」を企画した田辺昌子さんが、その真価を最初に見抜いて師宣晩年の名作に位置づけたのです。続いて小林優子さんが『國華』1357号<特輯 新出菱川師宣の肉筆画>に論文を寄稿して、実証性を高めました。師宣版本『年中行事之図』などとの共通図様を見いだすとともに、高位貴顕による注文品のゆえに落款をあえてはばかった可能性を指摘したのです。

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