藤村さんによると、幕府の禁令が出ていたにもかかわらず、幕末期の土佐では地芝居が盛んに行なわれていたのです。もちろん盛衰消長はあったようですが、とくに嘉永期と万延元年(1860)には盛り上がったのでした。地芝居と並んで浄瑠璃も大変愛好されました。
これらを絵金が体験しなかったとは考えにくいでしょう。それどころか、絵金は積極的にこれらを見物し、堪能し、みずからの芝居絵屏風に生かそうとしたにちがいありません。あるいはみずから舞台に立ったことさえあったかもしれません。
絵金の芝居絵屏風をじっと眺めていると、そんな想像もしてみたくなるんです。江戸歌舞伎や上方歌舞伎の影響を否定することはできませんが、より直接的な要素として、藤村さんは土佐の地芝居があることを明らかにしてくれたのです。
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