2025年6月9日月曜日

鎌倉国宝館「集結!北斎のエナジー」2

氏家浮世絵コレクションは、長きにわたり美術品の蒐集につとめた氏家武雄 (一九〇三~八〇)による肉筆浮世絵の一大コレクションです。昭和四十九年(一九七四)十月一日、 氏家と鎌倉市が協力し、鎌倉国宝館内に「財団法人氏家浮世絵コレクション」が設置され、令和六年(二〇二四)には財団設立から五十周年を迎えました。

氏家が蒐集をはじめたのは、一九三〇年代という、戦争の暗い影におおわれた時代のことでした。製薬会社を興し、はじめはあらゆる美術品に眼を留めていた氏家ですが、終戦直後に自らの蒐集活動の目指すべき方向を定めます。 氏家は「我が国独自の創造的なもので、世界に誇れるもの」として、版画ではなく、絵師本来の技量を伝える一点物の肉筆浮世絵をその対象に選び、蒐集を通して海外漏出から守ることを心 に決めたのでした。

 

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