2024年7月30日火曜日

出光美術館「日本・東洋陶磁の精華」3

 

代表的作例として「黄瀬戸大根文輪花鉢」(重要文化財)を見てみよう。見込みには実に生き生きした線で、大根が線彫りされている。葉のリズム感豊かな線、そして根の部分の伸びやかで張りのある線は、筆では表現できないものである。縁に輪花の鐔つばをつけ、そこにも線彫りで丁子と花を描き、簡単な唐草文を加えている。()

線刻模様に緑釉を加えることは、わが国では黄瀬戸に始まるわけであるが、中国陶磁にまで視野を広げてみると、よく似た作品があることに驚かされる。たとえば遼(11世紀)乾瓦窯の「白地緑彩草花文長頸瓶」である。砂質の胎土に白釉をかけ、草花文を線刻で表わし、そこに緑釉を濃く薄く大胆に加えている。


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