2023年12月31日日曜日

市河寛斎の歳暮詩2

市河寛斎「丁未ていびの除夕じょせき

 色んなことが起こったが 過ぎ去らんとするこの一年

 まだ老衰じゃ~ないけれど すでに鬢びんの毛 白くなる

 寒さ去らんとする時を 教えてくれる――まず梅が……

 氷 溶けんとする頃は 水面みなもにさざ波 立ち初める

 着物はダブダブ――そのわけは 作詩の苦労で痩せたため

 貧乏なのはいとけなく 養う子どもが多いため

 明日は四十みな嫌う 老いが始まることになる

 もし春の酒なかったら 老いの憂うれいを如何いかんせん?

 

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