ここに蚊や蚤――虫が登場することはきわめておもしろいと思います。それさえも殺してはならないというのです。つまり虫が生類憐みの令のシンボリックな生類になっているんです。虫といっても害虫ですから、それ以外の虫を殺すことは言うまでもなくご法度ということになります。
もっとも、茂睡の書き振りからみてこれは伝聞でしょう。しかも伊東淡路守閉門の理由は、妻がないのに妾に子を産ませたこととも、蚊を殺したことともいわれていたわけですから、後者が唯一無二の理由とは断定できません。
しかし平安時代前期が終わり、遣唐使が廃止されて国風文化が成熟してくると、梅と桜の人気は逆転、「世の中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」と詠むような桜狂 さくらきちがい がたくさん出現することになります。 もちろん、桜を賞美する花見は高位貴顕の人々に限られていましたが、...
0 件のコメント:
コメントを投稿