2022年12月1日木曜日

出光美術館・門司「松尾芭蕉と元禄の美」2

 

しかし「僕の一点」は、「元禄の美」から尾形光琳・乾山兄弟の「竹図角皿」を選ぶことにしましょう。白化粧掛けした角皿に、光琳が銹絵で孟宗竹と小竹を描き、「光琳(花押)」と落款を加えています。

左側に乾山が「雨洗娟々浄風吹細々香 乾山陶隠深省書」と賛を施し、<尚古><陶隠>連印を捺しています。しかし、いわゆる逆印になっています。乾山の文人的性格がこのようなところにも現われているといってよいでしょう。かつて「乾山文人画試論」という拙論を『國華』1419号に書いたゆえんです。拙文集『琳派 響きあう美』が出たあとだったので、第2拙文集ともいうべき『文人画 往還する美』の方に収めたように思いますが……。

0 件のコメント:

コメントを投稿

皇居三の丸尚蔵館「近世の御所を飾った品々」4

   しかし浜松図の原点は、『万葉集』巻 1 に選ばれる山上憶良の絶唱であるというのが私見です。「山上臣憶良 やまのうへのおみおくら の大唐にありし時に、本郷 くに を憶ひて作れる歌」という詞書きをもつ「いざ子ども早く日本 やまと へ大伴の御津 みつ の浜松待ち恋ひぬらむ」がそれ...