2020年10月21日水曜日

葛飾北斎『万物絵本大全図』大英博物館蔵10

余談ながら、『日本国語大辞典』に「儀狄」を求めると、「儀狄の小便」という、あまり品のよくない熟語があげられています。詐欺に引っかけるため、酒肴を供して歓心を買い安心させるという手練手管で、盗人やテキヤ仲間の隠語として使われ、『隠語輯覧』という本に出ているそうです。

酒肴を供するといっても、実際はそれで相手を落とし入れようとしているわけですから、何も知らないでうまそうに飲んでいるけれども、じつは儀狄の発明した酒じゃ~なく、彼のオシッコだというような意味にちがいありません。

『日本国語大辞典』では、「儀狄の小便(しょうべん)」となっていますが、これを使う方々は、「儀狄のしょんべん」と発音したのではないでしょうか。いずれにしろ、天の美禄を発明した儀狄に対して、ずいぶん失礼な隠語だと義憤を感じます(!?)

余談はともかく、『万物絵本大全図』103点のなかから、酒仙館長が「僕の一点」を選ぶとすれば、やはりこの儀狄を描く1枚を除いてほかにありませんよね()

 

0 件のコメント:

コメントを投稿

渡辺浩『日本思想史と現在』7

しかし渡辺浩さんは、先行研究が指摘した二つの点について、高橋博巳さんの見解が示されていないことが、やや残念だとしています。その先行研究というのは、大森映子さんの『お家相続 大名家の苦闘』(角川選書)と島尾新さんの『水墨画入門』(岩波新書)です。 僕も読んだ『お家相続 大名家の苦闘...