2020年9月26日土曜日

五木寛之『大河の一滴』2

5ヶ月間もすぐそばにあったのに、姜尚中さんの書評を読むまで、目に入らなかったのです。あるいは目に入っても、意識しなかったのでしょう。人間は自分に関心がなければ、認識することはできないという命題を、改めて認識したのでした。この部屋をお使いなっていた米山寅太郎先生がお読みになっていたのかもしれません。

 さっそく持ち出してきましたが、奥付をみると、平成10年(1998)4月15日に初刷りが出て、ひと月半後の6月1日に10刷りですから、発行後すぐベストセラーになったことが分かります。ところが『朝日新聞』によると、これが翌1999年に幻冬舎文庫になり、46刷り201万部に達しているというのです。 

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渡辺浩『日本思想史と現在』4

しかしここには、渡辺思想史学の特質が端的に示されています。それは洋の東西を自由に行き来する、ものすごい健脚ぶりです。広やかな視覚といってもよいでしょう。『日本思想史と現在』という書名になっていますが、日本に限定されることなく、その国境を越えてしなやかに抜け出ていくのです。だから読...