2020年8月21日金曜日

酒井抱一「日課観音図」2


 抱一が文政7年5月に日課観音を描いたことは、相見香雨先生の論文「抱一年譜稿」によって、早くから知られてきました。1978年、日本経済新聞社から出版された山根有三先生編集の『琳派絵画全集 抱一派』に、僕は「抱一の伝記」と「抱一の有年記作品」という2編の拙文を寄稿しましたが、もちろんこの抱一日課観音を取り上げることにしました。
しかしその時、実際に見ることができたのは、ある個人コレクションに収まる5月20日の1幅だけでした。その後、1991年夏、國華社にて5月2日の幅を見る機会があり、きわめてすぐれた出来映えに深く心を動かされました。小林忠さんに冷やかされるので、『國華』にはただ平成3年夏と書きましたが、正確にいえば1991年8月20日でした()

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