2020年5月30日土曜日

石守謙「物の移動と山水画」(『國華』)6



西のえびすの昆吾国[こんごこく] はるかに遠く行けやせぬ
玉さえ切れるその名刀 見た人はゼロ 噂だけ
ところが最近日本の すごい宝刀現れた
越の商人[あきんど]買ったのは 青海原の東の地
香りよき木でできた鞘[さや] それに鮫皮[さめがわ]貼ってある
黄金[こがね]の真鍮 銀色の 銅の拵[こしら]えみごとなり
大金払った好事家の 大コレクションに加わった
これを差してりゃ凶運も 妖怪さえも逃げていく
人づてに聞くその国は 大きな島にあるそうで
土地は肥沃で 風俗も 純朴無比ということだ
秦の徐福は人たらし 日本へたくさん連れってた
仙薬探して全国を…… やがて子供も老人に……

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