この特別展にちなんで、急遽「ZIPANGU――日本美術の視点から――」という講演をやることになりました。そのころはまだ「口演」ではなく、真面目に「講演」と銘打っていました(笑)
主催のABS秋田放送が考えてくれたのは、「ジパング秋田展に河野元昭が緊急参戦。美術史家が現代アートを斬る?」という、ちょっと恥ずかしいようなキャッチ・コピーでした。
僕は神護寺の薬師如来立像や円空仏と、棚田さんの作品の間に、呼応する美意識が存在することをしゃべったのです。木という材質それ自体の美しさを活かそうとする感覚――僕がいうところの素材主義によって、両者は強く結びついています。さて、木にはあって、大理石にも銅にも漆にもないものは何でしょうか? それは<木目>です。
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