2019年9月6日金曜日

諸橋轍次博士8


先生はボーイ一人を連れて、廬山山麓にあるという陶淵明のお墓を訪ねていくのですが、途中で日が暮れてしまい、まったく見ず知らずの家に、ちょっと無理をいって泊めてもらいます。翌日、誰に訊いても知らないという陶淵明のお墓を探しに探し、ついに草むらの中に見出すのです。それは明代に陶淵明の子孫が建てた、きわめて小さく丸っこいお墓で、表面に「晋代徴士陶靖節先生」と彫られていました。

「吉川幸次郎君がなんかに書いたことがありますね。陶淵明の墓を調べたものは、古くは唐の李白、宋の蘇東坡、それから明の王陽明であったとか。その次が諸橋先生かな。(笑)」というのが、確かに笑いを誘いますが、先生の学問が中国文化を正しく継承したものであったこと、きわめて経験主義的あるいは実証主義的であったことを証明しています。

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