2019年2月12日火曜日

森アーツセンターギャラリー「新・北斎展」4


 そのあと永田さんは、楢崎先生の招請を受けて太田記念美術館の設立に尽力し、キューレーターから副館長となり、目を見張る活躍を始めました。刺激的な展覧会を次々に企画し、北斎に関する学術的な研究誌『北斎研究』を創刊し、『葛飾北斎年譜』をはじめとするたくさんの研究書や啓蒙書を精力的に出版しました。この間、みずからもコレクションにつとめ、ついに郷里である津和野町に葛飾北斎美術館を開館させるに至りました。誰も真似のできない浮世絵界の偉業でした。またアートディレクターとして、多くの北斎展を企画しましたが、一九八〇年以降は、ヨーロッパでこれを開催し、ジャポニスムとは異なる北斎の真の魅力をもって、かの地の人びとをとりこにしました。

 

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