2018年11月2日金曜日

静岡県立美術館「幕末狩野派展」4


もっとも、写しとか模本とかいうと、意味がかなり拡散してしまいますし、コピーというといよいよキヤノンになっちゃいますから、やはり「複製作品」という言葉を定着させるのがベターでしょうか。

それはともかく、栄信筆「桃鳩図」の見所は、原本と見紛う本紙――絵の部分はもとより、その表装にあります。天地、中廻し、一文字、すべてを栄信が描いちゃっているんです。いわゆる描表装です。どう見たって、表装裂つまり織物にしか見えません。栄信も誇って、「装潢絹色一筆模之伊川法眼藤原栄信」と箱書きを施しているそうです。もちろん実際は、弟子がやったのでしょうが……。

0 件のコメント:

コメントを投稿

渡辺浩『日本思想史と現在』8

  渡辺浩さんの『日本思想史と現在』というタイトルはチョッと取つきにくいかもしれませんが、読み始めればそんなことはありません。先にあげた「国号考」の目から鱗、「 John Mountpaddy 先生はどこに」のユーモア、丸山真男先生のギョッとするような言葉「学問は野暮なものです」...