2018年11月16日金曜日

京都国立博物館「京の刀」12


 その「おもてなし」展をアップしたときも言及しましたが、この問題を考えるとき必ず読まなければならないのは、谷口吉郎先生の『日本建築の曲線的意匠・序説』<日本文化研究8>(新潮社 1960年)という論考です。その時はただ先生のお名前をあげただけでしたが……。確認はしていませんが、『谷口吉郎著作集』にも収められているにちがいないと思います。

僕が持っているのは50ページほどのA5版、小冊子にちかい本ですが、その内容はじつに示唆的です。まず先生は、「直線と曲線の建築意匠」と題して第一章とし、この問題の在りかを明らかにしています。そして、この間の熊本大地震で被害を受けた熊本城の石垣を取り上げて考察し、この論考の目的を次のようにまとめています。
 
  高級な整然とした石積みの意匠は、むしろ日本では古代の建築に多い。法隆寺の金堂や五重塔は、七世紀の古い建築であるが、規則正しい二段の石壇の上に建っている。それは中国の城壁の如く、外壁面は直線的で丸味を持たない。これは飛鳥時代の造形感覚で、中国の影響によるものであった。 

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