2018年10月11日木曜日

出光美術館「仙厓礼讃」4


仙厓「○△□」

 「○△□」は宇宙を表現した仙厓の絵画作品である。○はすべての存在の根本をなす無限をあらわしている。しかし無限そのものに形はない。感覚と理性をもった我々人間にとっては、具体的な形が必要である。この要請にしたがって△が生まれる。△はすべての形の基本だからである。

それから最初に□が生まれる。□は△が二つ合わさった形だからである。その合体が無限に続く結果、遂にはきわめておおくのものが誕生する。中国の哲学者はこれを「万物」と呼んだが、すなわち宇宙のことである。

 言葉によってものごとを考えようとする我々につきまとう問題は、言葉を現実だと思い込み、時間という存在がなければ、言葉など何の意味ももたないということを、忘れてしまう点にある。実際は、言葉こそ時間であり、時間こそ言葉なのだ。


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