2018年8月12日日曜日

大原美術館美術講座13


I椹木野衣「絵画における『近代の超克』と『戦後レジームからの脱却』
――成田亨と戦争画」(『戦争思想2015』河出書房新社 2015

日本の栄えある戦争を描くのに、なぜ鬼畜米英の技法である油絵なのか。ふつうに考えれば、明治期の国粋主義から発した日本画家たちの仕事ではないか、と。ところが事態はまったく逆だったのだ。実は、戦争画を描くにあたっては、日本画家は油絵画家よりも格段に劣るものと見なされていた。明治期に政府お抱えの外国人教師であったアーネスト・フェノロサの好みで、狩野派に近代絵画の画材や技法を取り入れることで改良され、その弟子にあたる岡倉天心によって確立された「日本画」では、本当の意味での「戦争画」は描けない――そう、軍部によって判断されたからだ。このことは、歴史的に言っても美術史に留まらない、たいへん大きな意味がある。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。

山種美術館「速水御舟」11

*吉田善彦「回想の御舟先生」 (山種美術館『開館 10 周年記念特別展 速水御舟 ―― その人と芸術 ―― 』カタログ  1976 年) 研究会の日、画室を片付けに入って描きかけの御作を拝見出来たことも得難いことであった。「白芙蓉」は葉も墨ぐまも何の当りすらな...