2018年7月17日火曜日

三菱一号館美術館「ショーメ展」2


ショーメのデッサン・コレクションは、ヨーロッパ及び北米の宝飾史において、議論の余地なく最も重要なものである。8万点に達するデッサンのコレクションから成り、そのうち最も古いものは18世紀末にまで遡る。これらは宝飾品の構想に欠かせない習作や、製作前に顧客から承認を得るために必須の下書きであると同時に、真の芸術作品でもある。

 さらに僕は、我が国花鳥画とのあいだに呼応する美意識を感じて、とても興味をそそられたのでした。たとえば「モモの花」(Fig.3)や「ノラニンジン」(Fig.10)、「ラン科カラキン属の一種」(Fig.18)を見てみましょう。たくさん描かれた小さな花が、すべて正面を向いています。なお、このFig.*は、とてもすてきな展覧会カタログに、プランヴァルさんが寄せた上記エッセーの挿図に付された図版番号です。

0 件のコメント:

コメントを投稿

渡辺浩『日本思想史と現在』12

  そのとき『君たちはどう生きるか』の対抗馬 (!?) として挙げたのは、色川武大の『うらおもて人生録』(新潮文庫)でした。京都美術工芸大学にいたとき、『京都新聞』から求められて、就職試験に臨む受験生にエールを送るべくエッセーを寄稿したのですが、本書から「九勝六敗を狙え」を引用し...