2018年3月29日木曜日

広瀬淡窓6



とはいっても、僕にとってはあくまで漢詩人ですね。もっぱら岩波版『江戸詩人選集』で親しむだけで、お恥ずかしい限りですが……。最も人口に膾炙するという「桂林荘雑詠 諸生に示す」中の一首に、『人物叢書』からの引用も加えて好もしい数首を、またまた僕の戯訳で紹介することにしましょう。

桂林荘雑詠示諸生の二
 ふるさとを出て学問を 続けることは辛いけど 弱音を吐いちゃーいけないよ
 一枚しかない綿入れを 一緒に使うほどの友 そのうち出来ることだろう
 柴の扉を朝早く 開けて出てみりゃ真っ白に 雪のごとくに降りた霜
 君は川水汲んでくれ 俺はタキギを拾い来ん 寮生活も楽しいぞ

隈川雑詠五首の二
 朱の欄干にあそび女が 春に誘われ身を寄せる
 風に向かって何ゆえに 哀調おびる琴を弾く
 澄んだ歌声 旅人は 漕ぐ手休めて聞きほれる
 乗った小舟が急流に 吸い寄せられるも気づかずに

 





0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。

京都国立博物館「京の刀」12

  その「おもてなし」展をアップしたときも言及しましたが、この問題を考えるとき必ず読まなければならないのは、谷口吉郎先生の『日本建築の曲線的意匠・序説』<日本文化研究8>(新潮社  1960 年)という論考です。その時はただ先生のお名前をあげただけでしたが……。確認はしていま...