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2018年3月2日金曜日

渡辺京二『逝きし世の面影』3


 それでは、渡辺さんがこれを著わした意図をどこのあたりに求めればよいのでしょうか。これについても、渡辺さんみずから語るところです。

私の意図するのは古きよき日本の愛惜でもなければ、それへの追慕でもない。私の意図はただ、ひとつの滅んだ文明の諸相を追体験することにある。外国人のあるいは感激や錯覚で歪んでいるかもしれぬ記録を通じてこそ、古い日本の文明の奇妙な特性がいきいきと浮かんで来るのだと私はいいたい。そしてさらに、われわれの近代の意味は、そのような文明の実態とその解体の実相をつかむことなしには、けっして解き明かせないだろうといいたい。

 だからこそ、渡辺さんは異邦人が見出した幕末明治日本の欠点や唾棄すべき点にも、ちゃんと目配りを施しています。驚くべきことに、日本人の心の温かさや慎み深さをたたえる「親和と礼節」の章が、渡辺さんの言葉を借りれば、「ダークサイド」から書き起こされているのです。

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