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2018年2月3日土曜日

三井記念美術館「国宝雪松図と花鳥」2


「僕の一点」は、渡辺始興筆「鳥類真写図巻」です。始興研究上きわめて重要なこの写生図巻は、僕にとって忘れることができない作品でもあるんです。昭和46年(1971)、東京国立文化財研究所に採用された僕は、江戸絵画における「写生」に関心を集めていました。というより、それは卒論や修論の延長線上にある問題でしたから、きわめて安直な研究テーマ設定だったんです。

そんなとき、新町三井家の三井高遂[たかなる]氏が、渡辺始興の「鳥類真写図巻」を所蔵されているということを、辻惟雄さんから聞きました。高遂氏は東京帝国大学大学院で動物学を専攻されましたが、鳥類、特に鶏に関心が高く、図鑑を出版されるほどでした。鶏の画家・伊藤若冲を研究していた辻さんは、大先輩である高遂氏に、鶏研究家の立場からみた意見を尋ねたことがあり、そのとき始興写生図巻を見せていただいたとのことでした。

それと思われる数種と落款が、中野其明編『尾形流百図』に載っていることを思い出した僕は、こりゃー面白そうだ、ちょっと調べてみたいなぁという気持ちが高まりました。早速、高遂氏に調査依頼のお手紙を出し、快諾を得ると、写真師の橋本弘次さんを伴って私邸をお訪ねしました。高遂氏は母校の近くにお住まいでした。

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