2017年12月29日金曜日

群馬県立土屋文明記念文学館講演「美術と文学」3


 だいたいこれまで書いたりしゃべったりしてきたものが多いんですが、今回の目玉は葛飾北斎の『潮来絶句集』です。

もっとも、これも『北斎と葛飾派』(日本の美術№367)の「狂歌絵本と文化史的背景」というコラムで取り上げたことがあるのですが、今回はその漢詩に戯訳をつけてみたんです。「また例のヤツか」なんて、言わないでください。

『潮来絶句集』は俗謡である潮来節に、富士唐麿という狂歌師にして藤堂龍山という漢学者が漢訳詩をつけたというところがミソなんですが、僕はこの漢訳詩に戯訳をつけてみたんです。つまり、潮来節→漢訳詩→戯訳となっているわけです。ところで、潮来節だけを示して、これは中国の艶詩を井伏鱒二が訳したものだと言っても、誰一人怪しまないんじゃないでしょうか。先のレジメに引いた一首に続いて、あと二首ほどの戯訳を掲げておきましょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿

渡辺浩『日本思想史と現在』12

  そのとき『君たちはどう生きるか』の対抗馬 (!?) として挙げたのは、色川武大の『うらおもて人生録』(新潮文庫)でした。京都美術工芸大学にいたとき、『京都新聞』から求められて、就職試験に臨む受験生にエールを送るべくエッセーを寄稿したのですが、本書から「九勝六敗を狙え」を引用し...