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2017年10月15日日曜日

東京国立博物館「運慶展」5


頭頂に角を挿した痕跡が残る牡鹿は、耳を立てて口をつぐみ、一点を凝視するかのようだ。一方、腹部に乳房が表わされる牝鹿は、前足を伸ばして坐り、口を開いて鳴くような姿で表現され、巧妙に対比が意識されている。いずれも茶褐色に彩色され、目に水晶を嵌める玉眼の効果も相まって、生きた鹿のつがいがそこにいるかのようである。

通常の宗教彫刻では選ばれることの少ないモチーフですが、西木さんは明恵上人との関係に注目しています。春日信仰で知られる明恵は、東大寺の門前において、鹿を通じ春日明神から宣託を受けたことがありました。

また、目の前で30頭におよぶ鹿が膝を屈するのを見て、自分を引き止めるためだと思い、念願であったインドへの渡航を断念したそうです。一般的な仏教彫刻とは異なり、経典や伝統といった規定が存在しない動物彫刻の制作背景に、明恵独自の信仰があったにちがいないと、西木さんは考えています。

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