2017年7月18日火曜日

サントリー美術館「神の宝の玉手箱」3


もちろん、平安蒔絵を代表する「片輪車蒔絵螺鈿手箱」(東京国立博物館蔵)の蓋裏の花鳥文と比べるならば、鎌倉リアリズムの現実的視覚が確かにうかがわれます。しかし、基本的にその草花折枝文が王朝美の造形であり、そこにちょっとだけ鎌倉的要素が加わったものであることは、改めて指摘するまでもありません。

このように眺めてくると、外側の厳密な中国的構成と、内側の優美なやまと的描写が、やはり和漢のコントラストをなしていることに、大きな興味を掻き立てられるのです。確かに浮線綾はわが国の有職文ですが、そのもとには中国の幾何学文があったにちがいないからです。正倉院御物などに見られる団花文がそれです。そもそも浮織物自体、中国からもたらされた唐織だったんだと思います。浮線綾が一般的に唐花円文に分類されるのも、そのためなのでしょう。

しかも外側が漢となり、内側が和となっているところに、日本美術、ひいては日本文化の特質が何よりもよく現われているといってもよいでしょう。古く、公文書は漢文で、私的な手紙は仮名交じりで書いたのと似たような感覚です。

静嘉堂文庫美術館を開いた岩崎家は、数少なくない本邸や別邸を造りましたが、多くの場合、洋館を賓客用に、日本家屋を家族の日常生活に用いました。中国と西欧の違いはありますが、共通するトレンドがうかがわれます。

ところで、僕は佐野みどりさんから敦煌みやげとしてプレゼントされた千年胡楊木の櫛をずっと愛用していますが、この特別展を見て、櫛には呪力が宿ることを初めて教えられました。それなら、その呪力によって、最近とみに増えた白髪が再びみどりの黒髪に戻りますように!?

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