2024年11月7日木曜日

追悼 高階秀爾先生6

 

それに誰もドメニコス・テオトコプーロスなんていわないで、エル・グレコと呼ぶじゃないですかと僕が言うと、すかさず高階先生が「そうですね。みんな美空ひばりと呼んで、加藤和枝とはいいませんね」とおっしゃったのです。

みんな美空ひばりが芸名であることは知っていますが、本名の「加藤和枝」がすぐに口を突いて出てくる人はほとんどいないでしょう。しかも高階先生は、その時すでに文化勲章をお受けになっていたんです。少なくとも、文化勲章受章者で「加藤和枝」を知っている人、それがすぐに出てくる人などいないのではないでしょうか。高階先生は歌謡曲という俗文化においても、知の巨人だったのです。

0 件のコメント:

コメントを投稿

静嘉堂文庫美術館「静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」2

   このような静嘉堂の社会的貢献――いまの言葉でいえばメセナとかフィランソロピーという視点も取り入れられています。単なる静嘉堂名品展ではありません。それは中心となってキューレーションを行なった学芸員・吉田恵理さんの功績です。   「僕の一点」は宮川長春の「形見の駒図」ですね。カ...