2018年5月21日月曜日

京都国立博物館「池大雅」2


見終わったとき僕は、これまでとちょっと異なる大雅像が胸中に焦点を結ぶのを感じました。これまで大雅は、キャッチコピーにあるごとく「旅の画家」と考えられてきました。これは否定できない事実です。

しかし、旅という実体験の前に、中国の自然と文化への憧憬とそこに胚胎したイマジネーションがあったのではないでしょうか。もしそうだったとすれば、見ることも直接触れることも叶わない中国の自然と文化に対する憧憬は、どのようにして生まれたのでしょうか。それは中国の古典によって、つまり文字の力によって醸成されたのではないかという思いが、会場を巡るうちに段々と強くなってきたのです。

7歳にして、黄檗山万福寺12世杲堂元昶や丈持大梅の前で大字を披露し、「七歳の神童」とたたえられたのは、きわめて象徴的です。大雅が画家であるとともに、書家であった事実も忘れることができません。

0 件のコメント:

コメントを投稿

國華清話会2025年秋季特別鑑賞会2

    ちょうど秋の風入れと重なったため、ほとんどすべての絵画作品が4室ほどに分けて懸けられ、島尾さんの解説を聞きながら 鑑賞することができました。風入れですから、すべて露出展示(!?)です。また田中さんの解説のもと、開山・石室善玖禅師のお像へお参りするなど、楽しく充実した半日を...