2018年3月5日月曜日

渡辺京二『逝きし世の面影』6


欧米人観察者が日本の古き文明に無批判でなかったこと、それどころかしばしば嫌悪と反発を感じさせさえしたことは、以上のような事例を一瞥しても明らかである。しかしその批判者が同時に熱烈な讃美者でありえたのはどういう理由によるのだろうか。日本のさまざまなダークサイドを知悉しながらも、彼らは眼前の文明のかたちに奇妙に心魅かれ続けたのである。彼らが書いていることを読むと、「この楽園には蛇がいないのではな」いと承知したうえで、なおかつ日本を「妖精の国」[エルフ・ランド]などと形容したくなる気持が手にとるように了解されてくる。

 先にミッドフォードを引きましたが、欧米人の日中比較も興味深いところです。もちろん渡辺さんがスルーすることなどありません。特に、日本人の清潔さを強調するとき、欧米人観察者の念頭には、もう一つ中国という対照がありました。中国に比べれば、日本は天国だという感想を述べている欧米人は、カッテンディーケをはじめ、多くて挙げきれないほどだそうです。

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