白楽天が中唐の大詩人であることは、改めて言うまでもありませんが、作者不詳の有名なお能に「白楽天」があります。白楽天が勅命を受け、日本の知力を計ろうと船で渡来すると、住吉明神が老漁夫に姿を変えて応対し、ついに多くの神々とともに神風を起こして、白楽天を唐土へ吹き戻すという愉快なお能です。つまり「融大臣×伯楽天」はお能における日中ペアということになります。
饒舌館長
2026年1月29日木曜日
北斎をネタにした斬新な見方の浮世絵版画展が今すみだ北斎美術館で開催中❣❣❣5
2026年1月28日水曜日
北斎をネタにした斬新な見方の浮世絵版画展が今すみだ北斎美術館で開催中❣❣❣4
この10図には重郭栞形じゅうかくしおりがたの題箋だいせんがあって、そのなかに「詩哥写真鏡」という揃い物のタイトルと、それぞれの画題が彫られています。その題箋の位置に注意してみると、右上にあるもの5枚と左上にあるもの5枚に分かれます。
先の5セットを改めて見てください。先にある図、つまり左にある図は、左上に題箋があります。一方×のあとにある図、つまり右にある図は、右上に題箋があります。したがってこのように組み合わせると、ちょうど双幅の落款がその外側にくるのと同じような感じになります。
また主題についてみると、日本主題5枚と中国主題5枚に分かれるのです。先の5セットをみると、すべて日本主題と中国主題の組み合わせになっていることが分かるでしょう。日本×中国か中国×日本かという違いはあっても、日中の組み合わせになっていて、日本×日本や中国×中国はありません。5番目の「清少納言×在原業平」は日本×日本のようにみえますが、これについては最後に説明しましょう。
2026年1月27日火曜日
北斎をネタにした斬新な見方の浮世絵版画展が今すみだ北斎美術館で開催中❣❣❣3
吉田先生のおっしゃることは、当らずといえども遠からずかもしれません。風景版画の北斎・広重・巴水をたたえて3Hというそうですが、広重や巴水が好きな方は、「吉田先生の言うとおり!!」と拍手喝采をするでしょう。しかし北斎の「詩哥写真鏡」は傑作だと思っています。その理由を以下に述べることにしましょう。これまた独断と偏見かもしれませんが( ´艸`)
10図からなる「詩哥写真鏡」は、日本と中国の主題を組み合わせた2図の5セットになるというのがマイアイディアです。その5セットとはつぎのとおりです。
融大臣とおるのおとど×白楽天(「詩哥写真鏡」では「伯楽天」)
少年行×阿倍仲麻呂(「詩哥写真鏡」では「安倍の仲麿」)
春道列樹はるみちのつらき×李白(「詩哥写真鏡」では「春道のつらき」)
韓愈×木賊苅とくさがり
清少納言×在原業平
2026年1月26日月曜日
北斎をネタにした斬新な見方の浮世絵版画展が今すみだ北斎美術館で開催中❣❣❣2
さらにそのベストテンから選ぶ「僕の一点」は、「詩哥写真鏡」ですね。天保のはじめ、つまり為一いいつ時代の北斎が、版元・森屋治兵衛から出した10図の傑作揃い物です。「北斎でひもとく! 浮世絵版画大百科」展では、長大判ながおおばんの代表的作例として「少年行」が出品されていました。いま僕は「傑作」と書きましたが、以前は評判が悪かったようです。
たとえば吉田映二先生は、『浮世絵事典』につぎのごとくお書きになったいます。一応終りにチョット持ち上げていらっしゃいますが、吉田先生、こういうのを「酷評」と言うんじゃありませんか?
一種の歴史画とも称すべきものであるから、面白味はきわめて薄い。それに晩年作の通弊である形骸のみで情感の乏しさから、絵は絵のみで終わっていて、それぞれの絵に醸さるべき雰囲気も景趣も浮かんではいない。ただ色彩に見るべきものがあり、その点ではすぐれている作といえる。
2026年1月25日日曜日
北斎をネタにした斬新な見方の浮世絵版画展が今すみだ北斎美術館で開催中❣❣❣1
すみだ北斎美術館「北斎でひもとく! 浮世絵版画大百科」<2月23日まで>
浮世絵版画――日本を代表する美術の一分野であり、絵画の一ジャンルです。しかし複製芸術である浮世絵版画は、絵画であるとともに、工芸でもあったんです。またそれは商品であり、メディアであり、おもちゃでもありました。
今すみだ北斎美術館で開催中の「北斎でひもとく! 浮世絵版画大百科」展は、このような浮世絵版画の多面的な性格と、そのおもしろさを気づかせてくれる展覧会です。すみだ北斎美術館ですから、その語り部をお願いした浮世絵師は天才・葛飾北斎、その弟子やフォロアーにも協力を頼んだようです。もちろん僕はNHK青山文化講座「魅惑の日本美術展 必見ベスト6だ!!」にこれを組み込み、マイベストテンを選んで先日しゃべり終わったところです。
2026年1月24日土曜日
独創的詩人・白石かずこさんに想いを寄せる会を水田宗子さんが開催‼ 8
第2部は8人の現代詩人、野村喜和夫、巻上公一、小池昌代、辻和人、岡本啓、森山恵、中保佐和子、菊地利奈(敬称略)によるリーディングでした。一般的な日本語による朗読のほか、日本語朗読の掛け合い、書跡でいえば重ね書き風の朗読、英訳朗読、日本語と英語の掛け合い朗読と、さまざまな朗読のかたちがあることを初めて知りました。
白石さんが開拓した朗読パフォーマンスですが、現代詩が新しい朗読形式を模索し、これまでになかった挑戦を試みていることに興味を掻き立てられました。これを聞きながら、僕の大好きな俳句や和歌はやがてAIに駆逐されるにちがいないけれども、現代詩は最後まで文学的生命を保つ韻文だと確信したのでした。
ヤジ「またここでもオマエのAI恐怖症が出てきたな!!」
*「饒舌館長ブログ」では幽明界を異にされた研究者のみ「先生」とし、お元気な方はひとしなみに「さん」とお呼びすることにしております。
2026年1月23日金曜日
独創的詩人・白石かずこさんに想いを寄せる会を水田宗子さんが開催‼ 7
詩だけじゃない!!論文も同じだと、我が田に水を引きたい気持ちになります。書き始めたばかりの「江戸絵画名所絵試論――虚実の間――」を仕上げるため、これをエネルギー源というか、応援歌にしたいと思います( ´艸`)
『詩の風景・詩人の肖像』の巻末にある「白石かずこによる白石かずこ――あとがきに代えて」はとても印象的な跋文です。1931年、ちょうど僕の一回り上の未年に、カナダのヴァンクーヴァーで生まれ、7歳のとき日本に戻ると『月に吠える』と『悪の華』に触れてこの世界に足を踏み入れた、一人の日本女性が詩人として成長し独立していく一代記です。
いや、「旅人であることが日常」になった一人の日本女性がつづった彷徨する魂の独白です。白石さんは「登場する詩人たちへの感謝の気持」というオブラートに包んで、このエッセイを『るしおる』という雑誌に書き続けたようですが……。
北斎をネタにした斬新な見方の浮世絵版画展が今すみだ北斎美術館で開催中❣❣❣5
「融大臣 とおるのおとど × 伯楽天」は お能( 謡曲 ) のペア です。融大臣とは 平安前期の公家歌人・ 源融 です。 「 百人一首 」 に選ばれる「陸奥 みちのく のしのぶもぢずりたれゆゑに乱れそめにしわれならなくに」は人口に膾炙 するところです 。源融は京都の六条河原...
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柳孝一さんが 1 月 17 日にお亡くなりになりました。享年 56 、あまりにも若すぎます。心からご逝去を悼むとともに、ご冥福を深くお祈り申し上げます。 柳孝一さんは日本を代表する慧眼の古美術商として、早くから美術業界でその名を知られてきました。いや、古美術ばかりでなく...
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出光美術館・与謝蕪村筆「夜色楼台図」< 11 月 18 日まで>( 11 月 16 日) いま出光美術館では、江戸時代絵画の<雅>と<俗>に焦点をしぼって、「江戸絵画の文雅」< 12 月 16 日まで>と題するオススメの企画展が開催されています。これに錦上花を添え...
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5 月 10 日(土)「高階秀爾先生に感謝を捧げる会」が帝国ホテル東京で開かれました。もちろん僕も出席させていただくことにしていましたが、ひどい風邪をひいてしまい――その風邪をこじらせてしまい、申し訳ないことながら出席することができませんでした。去年「饒舌館長ブログ」に「追...





