「参考文献抄」には、僕が監修した『水墨画』(美術年鑑社)があげられていますし、水墨画について拙文を書いたこともあります。しかし今回、まったく知らなかった事実や示唆的な見方を、たくさん島尾さんから教えてもらいました。「矢代幸雄の名著『水墨画』<岩波新書>から半世紀、水墨画へのあらたな道案内」とうたっていますが、ガイドとしてだけじゃなく、水墨画と濃厚接触したいあなたにもオススメですよ(笑)
最後に島尾さんは「シンプル・イズ・ベスト?」として、文人画家・浦上玉堂が如意道人という奇人に贈った「奇峰連聳図」を取り上げています。これは「如意道人蒐集画帖」(出光美術館蔵)に含まれる作品で、かつてその特輯号を『國華』で編んだとき、僕も2、3点解説を担当したことを思い出します。そこに加えられた玉堂の七言絶句を、またまたマイ戯訳で紹介することにしましょう。