今回は一聯の二句を、和歌のように仕立ててみました。もっとも、荒井さんがこういう駄洒落をお好みにならないことは、よく存じ上げているのですが……。
人は言う素晴らしいのは春の川 月明かりなら何をか言わん
花・花・花――咲いてる岸辺の林かな 桂生ゆ月波間に浮かぶ
水面[みなも]には花と月とが揺れ動く 月影花の香清くさわやか
疑った!初め美人の顔[かんばせ]の 髻[まげ]に挿す花映ったのかと
また思う鏡見つめる美女嫦娥 誰かに恋する色っぽさかと
微笑めばかすかに開く唇よ 媚態万化し水にただよう
見るうちに江上の月昇りたり 満ちたる潮もすでに鎮もる
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