験[しるし]なき物を思はずは一杯[ひとつき]の濁れる酒を飲むべくあるらし
酒の名を聖[ひじり]と負[おわ]せし古[いにしえ]の大き聖の言[こと]のよろしき
古[いにしえ]の七の賢[さか]しき人どもも慾[ほ]りせしものは酒にしあるらし
賢[さか]しみと物いふよりは酒飲みて酔[えい]泣きするしまさりたるらし
言はむすべせむすべ知らず極まりて貴[とうと]きものは酒にしある
なかなかに人とあらずは酒壷に成りにてしかも酒に染みなむ
あな醜[みにく]賢[さか]しらをすと酒飲まぬ人をよく見れば猿にかも似る
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