調査結果はこの『総合調査図録』を見ていただくことにして、「僕の一点」を選ぶとすれば、英一蝶の「涅槃図」をおいて他にないでしょう。正徳3年(1713)一蝶によって描かれた巨幅で、これまでまったく知られることのなかった傑作でした。軸頭に一蝶と親しかった横谷宗珉による唐獅子図の彫物があることも貴重です。
ずいぶん経ってから『國華』1373号に紹介しましたが、この件は「饒舌館長」にアップしたことがあるように思います。その『國華』掲載号を手にしたときは、鹿島美術財団に対して責任の一端を果たしたような気持ちになり、ホッとしたものでした。アシアゴ付きで4回もボストンへ旅行させてくれた鹿島美術財団に対して……(笑)